COLUMNお役立ちコラム
2026.10.31
相続土地国庫帰属制度は使える?建物付き実家は売却と比べる
この記事では、「相続した土地を国に返せる」と聞いて調べている方に向けて、相続土地国庫帰属制度の仕組みと、建物が残っている実家では使えるのかを整理します。申請できる土地の条件、かかる費用の考え方、大阪市内の実家で売却と比べたときにどう判断するかが分かります。
相続土地国庫帰属制度とは
相続土地国庫帰属制度は、相続や遺贈で取得した土地を、一定の条件のもとで国に引き取ってもらう制度で、2023年4月27日に始まりました。「使う予定のない土地を相続してしまった」「遠方で管理できない」といった人のためにできた制度です。
ただし、どんな土地でも引き取ってもらえるわけではありません。申請できる土地には条件があり、審査のうえで承認されて初めて国のものになります。また、無料ではなく、申請時の手数料と承認後の負担金がかかります。
建物がある土地は申請できない
この制度で特に重要なのが、「建物がある土地は申請できない」という条件です。実家を相続した場合、土地の上には家が建っています。そのまま申請することはできず、建物を解体して更地にしてからでないと対象になりません。
ほかにも、次のような土地は対象外とされています。
- 抵当権など担保権が付いている土地
- 境界が明らかでない土地
- 所有権などについて争いがある土地
大阪市内の相続した家は、建物付きであることがほとんどです。加えて、古い住宅地では隣地との境界がはっきりしていない土地も見られます。「まず解体」「境界の確定」という手前の作業が要ることを知らずに「国に返せるから安心」と考えてしまうと、後で想定外の負担に直面します。
かかる費用の考え方
制度を使う場合にかかる費用は、大きく3つに分かれます。
- 審査手数料:土地1筆あたり14,000円
- 負担金:原則20万円。市街地の宅地などは、面積によって高くなる区分があります
- その前段階の費用:建物の解体費用、境界を確定するための測量費用など。金額は建物の大きさや状況によって変わります
つまり、建物付きの実家でこの制度を使うには、「解体費用を出して更地にし、さらに負担金を払って、土地を手放す」という流れになります。土地を手放すために、お金を出す側になる制度だと理解しておくと分かりやすいです。
売却と比べてみる
ここで並べて考えたいのが、売却という選択肢です。売却であれば、建物を壊さず現状のまま買い手を探すことができます。当社では、古い家や残置物が残っている家も含めて、現状のままでの買取と、仲介で売る場合の両方の金額をお出ししています。
整理すると、次のような違いになります。
- 国庫帰属:解体費用と負担金を支払って土地を手放す。建物・境界・担保などの条件を満たす必要がある
- 売却:建物を残したまま手放せる場合が多い。価格は物件によるが、費用を払う側ではなく、代金を受け取る側になる可能性がある
もちろん、立地や状態によっては売却が難しい土地もあります。その場合に国庫帰属制度が選択肢になることは確かです。順番としては、まず売却の見通し(買取と仲介の両方)を確認し、それでも手放す道がなければ制度を検討する、という流れが無理のない考え方です。
制度を検討する前に確認しておくこと
実家を相続してこの制度を調べている方に、先に確認していただきたい点があります。
- 相続登記が済んでいるか。2024年4月から義務化され、相続を知ってから3年以内、2024年4月1日より前の相続は2027年3月31日が期限です
- 建物を残したまま売れる可能性があるか(査定を取ってみる)
- 解体する場合、大阪市の除却に関する補助制度が使えるか。対象エリアや条件、金額は年度で変わるため、大阪市都市整備局の耐震・密集市街地整備 受付窓口(06-6882-7053)で確認してください
- 相続した空き家を売る場合の譲渡所得の特別控除が使えるか。要件が細かく、適用できるかは税理士・税務署に確認してください
「決めきれないから、そのまま置いておく」は避けたい選択です。手入れが行き届かない空き家は、改正空家法の「管理不全空家」として指導・勧告を受け、固定資産税の住宅用地特例が外れるおそれがあります。
まとめ
- 相続土地国庫帰属制度は、条件を満たした土地を、手数料と負担金を払って国に引き取ってもらう制度です
- 建物がある土地は申請できず、解体して更地にする必要があります
- 建物付きの実家では、解体費用と負担金を出す制度と、現状のまま売る選択肢を並べて比べることが大切です
株式会社RIGHT(ライト不動産)では、建物が残ったままの実家でも、買取と仲介の両方の金額をお出しする無料査定を行っています。「国に返す前に、売れるかどうかだけ知りたい」というご相談でも構いません。相談は無料で、秘密は守ります。お問合せページ、またはお電話(06-6625-7373・水曜定休)からご連絡ください。
出典
(2026年10月31日確認)
- 法務省「相続土地国庫帰属制度について」
- 法務省「相続土地国庫帰属制度の説明資料(審査手数料・負担金)」
- 法務省「相続登記の申請義務化について」
- 国土交通省「空き家対策 特設サイト(管理不全空家と固定資産税の住宅用地特例)」
- 大阪市「狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度」
- 大阪市「防災空地活用型除却費補助制度」
本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、個別の税務・法務の判断は税理士・司法書士・弁護士等の専門家にご確認ください。制度の内容は2026年10月時点のものです。